第12期パーマカルチャー塾 実習コース(第2回)

講義・実習『土壌作り・ボカシ肥づくり』
2010年4月10日(土)

作成:原田 哲志

講師:四井 真治
1. 土壌について

国内有機農家...1% 本物の土づくりがされているか疑問あり。
(※師独自の家庭菜園教室開催で広く伝えることに)

世の中と環境を変化させるには、人間の生活様式を変化させるしかない。

●水洗トイレ設置の弊害
下水道整備(税金毎年4億円)が、土壌に(人間の糞尿からの)養分を供給しなくなってしまった。

フランス製ミルカーを基にした簡易トイレの使用が適切。
(アウトドア用、衛生用、介護用など。 女性用には伝染病防止のため用足し専用容器もあり)

●糞尿について
尿...成人1~1.5L/日→チッソ2%分(堆肥化可能)
  ※身体内の"管"という通り道を伝い排泄されるので、身体内の原子が3~5年周期で更新され、長生きできるらしいとのこと。
糞...成人200~300g/日→チッソ2%以下(堆肥化は大変)
  ※口→肛門(消化過程で細菌作用) 糞の6割...腸内細菌の塊

糞尿を仕分けするトイレ使用が適切

〇現代の人間の生活様式
・土壌を元本にするという考えがない。(「生物」というパターン設計でない)
・肥料分の他にミネラルを排出。
・土壌劣化により更にミネラル排出。

化学肥料(窒素、リン酸、カリウム)→毎年過剰となる。

マグネシウム(葉緑素の元)をはじめとする微量要素はほとんどない。

  ※化学農法→有機農法  移行に最低3年は必要

●土を知る
・人間は環境の変化に合わせて進化していく
・ミネラル⇒水に溶け出す
・栄養が少ない場所でも、物質循環繰り返すことで、ミネラルバランスがきれいに保たれる。

ミネラルをより多く取り戻す方法...長年の月日が経つので、おそらく不可能
例)有機農業始めるには、土の基本的な知識を積むのが先。

●物質循環
 土壌環境は長い時間をかけてスパイラル状に栄養分を蓄積していく
                           
木から野鳥飛び立つ→野鳥、糞を落とす/小動物、糞を排泄[他に、雨、窒素、二酸化炭素等]→土中の微生物が消費・分解→無機化→根から養分として吸収

●土壌の構造
持続可能にするなら、土を再生させなければならない。
それがなければ、土の粒子は風化してしまう。

土づくり...多様な環境を作ること。
多様な環境⇒生物多様性を育み、豊かさを変える。
※微気象、微環境が多様であればあるほど、まれに見合った生物が多く生息。
土壌は"遷移"により成長。長い年月かけ、ミネラルなどの栄養分を蓄積。

[遷移]

① → ② → ③ → ④ → ⑤ → ⑥ → ⑦ → ⑧

[①土 ②草原 ③一年生草本 ④多年生草本 ⑤陽性低木 ⑥陽性高木 ⑦陽陰混交林
⑧極相林]
パーマカルチャーを始める場合、森ではなく、草原を意識してデザインすべし。
ただし、果樹園の場合は森。

●土壌の細かい構造
・良い土壌=団粒構造=理想的な土の性質の指標
細かい土の粒が生き物たちの働きにより作られ維持されている。
「水はけ」「水もち」「通気性」→良好にする
「団粒の隙間」「団粒の表面」「団粒の中」→環境の多様性を作る
※ピンポン球の集まった状態の隙間のよう

それぞれに適した生き物の住みかを提供=豊かな生物相

腐植・表面積共に多くなり、保肥力が高くなる。

・団粒構造内 隙間=1.2mm(酸素の多い状態)
好気性微生物による酸素消費→嫌気性微生物の繁殖

(堆肥作り)
土の切り返しによって、好気性・嫌気性それぞれの微生物が入れ替わる。

●日本の土壌=世界的には良くない土壌
・火山噴出物から発達した黒ボク土が多い。(火山灰が重なってできた土。リン酸分少ない。)
例)関東平野 6m掘ると赤い土が出る。
・降雨量多い→土壌からカルシウム、マグネシウム等のイオン流れやすい。

酸性の強い土壌多い

土壌改良=堆肥を多く施用(腐植を作り微生物を増やす。1反=1tの完熟堆肥)
   ph5~7くらい(弱酸性から中性)に近づける。
   ※灰を撒く→一時的な対処療法
   学校校庭での白線引きに使用されるクレサンマグネシウム(石灰)=ph10

〇土作り 堆肥、腐葉土を基にした土作りが多い。
土の環境が安定(均質になる傾向)→作物の生産性下落

(少なくとも)何年に1回は、部分的に作物を入れ替えたり土を耕したりして、土壌を攪乱させる。(耕す...土を柔らかくして肥力を得る)
※1反=700kg(1x1mに700g)の細菌等土壌微生物・ミミズ等土壌動物が理想的。
         1m=落ち葉8kg → 窒素20kg/反

●多様性について
 人と自然の折り合いの付け方が必要
例)・五島列島  ※四井先生のパーマカルチャーデザイン実践地
人口が減る→人から排出される有機物が減る→魚も貝も減っていく(磯焼け)
・広島県周辺の海 牡蠣(かき)の水揚げ
糞尿の海洋投機→法律で禁止→有機物なくなり貧栄養→漁獲量下落
  ・里山・棚田の保護
   日常生活又はそれに近い形での生活として密着していないと、維持は難しい。
※人から排出される尿...人が気付かない微生物の働きあり。
              野生動物が縄張り表示のために行う糞尿によるマーキングと似たような効果もある。
但し、1ケ所集中は汚染の元。

 あらゆる生き物が生存すること(勿論、人の営みも加わる)で、豊かな自然が形成されていく。(植物・土の中の生き物=人の農作業)

〇物質循環無視した生活→環境破壊
   例)大型機械での土の攪拌、化学肥料・農薬の過剰使用、堆肥の不使用、他

   常に「程度」を考えバランス感覚を持つことが大切→持続可能な生活


2.堆肥・ボカシ肥作りについて

●堆肥...動植物由来の有機物残渣の腐敗物
肥料分を補うというよりも、土壌改良が目的。

〇堆肥作り...その都度資料を確認することが適切
  素材となるあらゆる有機物のC/N比(炭素率) ※C/N=炭素分/窒素分
(20~40...発酵が進む。 15~50...完成した堆肥の理想数値)
  発酵の進行(=窒素分多いゆえ強い臭い)→素材の切り返し→オガクズ入れる等→
  土の匂い
・牛糞・鶏糞・豚糞...腸内細菌あるため発酵が早い
・青草...刈り取って乾燥させたものが望ましい
     (生きたままの使用は、病害発生の恐れあり)
・木の枝...生きた状態のため微生物が寄生(分解のため)→作物に栄養回らない
→窒素飢餓

●ボカシ...有機肥料を発酵させて肥効をボカシ(穏やかにした)たもの
 ※有機肥料を直接土に混ぜる場合と違い、全量を良く発酵させる
→ビタミンやアミノ酸などの有効成分を多く植物に吸収させる
          →ほど良く時間短縮が可能

〇発酵過程
  混合 ※特に落ち葉の中にある黄麹(ハンペンのようなもの)の使用が効果あり
  [良い山の土(※放線菌の臭いのする雑木林の土が理想)+米ぬか]+その重量の4/1くらいの水=ぎゅっと握って崩れるか崩れないかの具合

温度上昇に伴い、60度以上にならないように切り返し。
乾燥しないように水を加える。

温度上昇停止で完成(味噌か醤油のような匂いが目安)


講義・実習『籾の選別と湿潤』
2010年4月10日(土)

作成:南谷 朱美

講師:設楽 清和

1.米作りについて

四月   五月  六月   七月   八月   九月  十月  十一月 十二月
種まき
田起し
育苗
トンネル 代かき
田植え

生育
水管理
中干し 稲刈り→ 天日干し→ 脱穀


食べる
(精米)
※ 昔、田植えはコミュニティの中で行われていた。
 「米」
  ↓   
八十八手と書く様に、米作りには多くの手間と時間がかかる。
 
肥料 センターでは年に一度の鶏糞&年に二度のおしっこを撒く。
 種類  ・インディカ
・ジャポニカ→ウルチ(収量多い)、モチ(収量少ない)
       作業する際、混ざらないよう注意!交配してしまうため。
原産はおそらくアフリカ
  稲は熱帯性の作物なため、育てる際もその様な環境作りが必要。
(例えば育苗の時のトンネル)
      水は苗にあたって刺激となる
          あたためにくく、さめにくい→成長→分茎
小苗
中苗→センターでは中苗で3本田植え
大苗
    稲が36~40本にふえたら水を下げる。→空気が入る。


2.稲の種まき

 籾の準備 
[1]塩水選(良い種を選ぶ)
 ①卵を利用し塩水をつくる。(予想以上の塩を使うのに驚いた。→プカッと浮いて皆で拍手!)
 ②籾を塩水に入れ、軽く混ぜる。浮いた籾は取り除き、沈んだ籾(優秀!)のみをザルにあける。塩水の浮力を利用。
 ③軽く水洗い。→網袋へ
[2]低温殺菌(加温消毒&発芽抑制物質の除去:芽覚まし)
 ①塩水選を終えた籾を60度の湯に(温度計を見ながら)7分間漬ける。
   温度管理に注意 低ければ意味がないし、高ければ煮えてしまう。
[3]芽だし(発芽を揃えるため湿潤)
 ①殺菌を終えた籾を網袋のまま、川の水に漬ける。
籾が出ない様に袋の口しばり、丈夫そうな木に紐にくくりつけた。
 ②水の温度×日数=100になるまで漬けておく。(積算100℃)
  (自然の中に放っておくのが、なんとも野生的)

 ひとつひとつ地味な作業なのだが、みんなでやるとなぜか盛り上がりました。


『人間の生活に関係の深い動物たち』
2010年4月11日(日)
                           講 師  設楽 清和

1. 野生動物

 人が山に入り、手を入れていた時代には、野生動物が里山に下りてくることはなかった。奥山・里山・里、と、人と動物の住み分けがされており、野生動物がバッファゾーンを超えてくることはなかった。
近年、日本各地で、作物や家畜が野生動物の被害にあっている。法律上、野生動物を殺すことは許可なくしてはできないことであり、また、人間に被害を与えるから駆除する、ということではなく、いかに共生するか、という発想が大切である。
野生動物について、その特性を知り、野生動物が里に下りてこなくても良い環境を作ること、人が山に手を入れ、住み分けができるよう世話をすることや、また、野生動物に被害を起こさせないよう、農場や家畜小屋に柵を設けるなどの対策が必要である。
農場を始めるにあたっては、その土地にどんな野生動物がいるのかを、前もって調査し、対策をとるようにする。


2. 家畜

パーマカルチャーの農場をつくるにあたって、人と、植物、そして動物の存在があって、初めて生態系のバランスが取れた、多様性のある農場作りが可能になる。力のある農場づくりのためには、動物たちの存在は欠かすことができない。
農場において、人と動物が互いに共存するために、それぞれの動物の特性を知り、適切な環境を整えてやる。
また、動物たちの命の権限は人間にある。経済的な効率を取るのか、その動物の命を全うするまで飼うのか、その状況によって決断する場面が出てくる、ということを理解した上で、家畜を飼うことが大切である。

   作 成  相馬 稔美


ミミズの飼い方
2010・4・11(日)
講師 相模浄化サービス(ミミズ屋)
関野さん


◎ミミズのアミノ酸
ミミズはアミノ酸豊富―いのししはミミズのアミノ酸を求めてくる
ミミズ粉とフィッシュミール・大豆粉とのアミノ酸数値を比較。
→ミミズ粉はすべての数値が高く、体の中で形成できないすべてのアミノ酸を網羅。

ミミズ粉は健康食品・精力増進剤でもある。
アトピーがミミズの液肥・粉で治った例
脳血栓・糖尿病・高血圧に効くという報告もあり
細胞はアミノ酸でできているため。細胞の活性化を補う、アミノ酸バランスを整える。

◎ミミズの食物濃縮
WHO(世界保健機構)では急性毒性検査にシマミミズを使う、というほど、ミミズは微量で変化がある。
人間から見ればたいしたことのないわずかな量でも...
そのわずかが化学物質過敏症やアレルギーを生み出す。

<関野さんの体験談>
下水汲み取り→浄水場で微生物分解→活性汚泥→焼却場で焼却⇒金がかかる!
そこで...
「活性汚泥をミミズに食べさせて浄化しませんか」 汚泥を買い取ったエバラ製作所からの話
  ↓
半信半疑で食べさせた。
三週間後...病気にはかからないはずの、土から出たら死んでしまうはずのミミズが、
自ら土から這い出てきて死んでしまった。
ミミズは太り、体に3~4つのこぶができていた。
  ↓
エバラ「水道法の数値はクリアしている。問題ない。」
しかし汚泥の汚染1万2千ppm。合併浄化槽でも20ppmなのに...。
怖いから断った。
レイチェル・カーソン「沈黙の春」のよう。
循環しない水と土。しかしそれを排出したのは誰かということ。ミミズは本当の豊かな生活をおしえてくれる。

◆有機堆肥を作りたい、と思っても→ポストハーベストの問題。
野菜、おから、アメリカ・カナダ等の小麦
・・・ミミズのえさに使うとミミズはだめになる。

◆さらに、ミミズを飼うと合成化学物質は使えない。
ハンドクリーム、洗剤、シャンプー、化粧品等々・・・。
ミミズが弱ってしまう、死んでしまうから。

◆さらに食用・粉にするミミズの場合
ミミズは9割が水分。粉にすると1kgのミミズから100gの粉がとれる
そのミミズが汚染されてると、1kgあたり5ppmの汚染が濃縮されて100gで5ppmに!

☆ミミズの話は地球の話☆
『分解できないものは使わない暮らしをしましょう』 中村万子著「ミミズのいる地球」より
    
※ちなみにppmとは濃度や成分比の単位で、1に対して百万分のいくつであるかを示すもので、関野さんは具体的に何の数値かはお話されてなかったように思います(砒素についてはありました)が、何らかの化学汚染物質であるということで・・・。記憶違いでしたらすみません。


◎ベランダでできる生ごみ処理


  
水分%

10%   20   30   40   50   60   70   80   90  100%


※自然のメカニズムに
沿ってないと失敗する!


     
      土壌菌群
                     好気性菌     嫌気性菌

腐らせずに生ゴミ処理するには
*水分 *通気性 *気温 の管理

●好気性菌の好む60%の状態にすること
 ※高さ30cm以上の容器に腐葉土を入れ、乾かした生ゴミを混ぜる
コンポストなら
* コンクリ、ブロックなどで地面から上げる
* 腐葉土に米ぬかも混ぜ、生ゴミを入れる
* ふたは密閉しないこと
●水分が多くなると嫌気性菌が働きだし、腐敗臭・メタン臭、虫がわく。
  表面べっとり。よくある地面に穴を掘って生ゴミを入れるコンポストは、
日本の気候に合っていない虫のわく恐ろしいコンポスト・・・。

◎ミミズのコンポスト―自然のメカニズムを知っておく

★日本でやるなら木造のコンポスト。日本の気候に合わせる。

シマミミズ→85%の水分を好む。雨を求めて移動すると言われている。
※エサは新鮮な生ゴミを上げること。食べる速さとゴミの量のバランス

◆土の上に生ゴミを薄く広げる
◆微生物が、まず土に接している面から軟らかくする。
◆ミミズは三日かけて食べる

なので、ゴミは三日に一回がベスト・・・または三箇所に分けて一日一回ずつ
(キャノワームひとつで1kgくらいのミミズ適当)

※コンポストがないとき
木のパレット4枚を組み、農業用の黒いシートを敷いて、土を盛ったものでもよい

☆ミミズは快適な環境でないとすぐ脱走する。(ご飯無い、水分無い・多い・・・×)
*雨が降ったらゴハン、米ぬかをあげておく。
*一日一回は様子を見る。昨日との違いを観察。(見過ぎない。でてこなくなる。)
*ミズアブが来たら、堆肥の山と、ぐちゃぐちゃゴミの山を分けておくと
アブはぐちゃぐちゃが好きなのでわかれて、取り除きやすい。
☆エサはできるだけ薬のかかってないものを!
☆ミミズの糞を下から取り出せるよう工夫する。

ミミズの糞はよい肥料となる。が、固体はいくらもとれない。→液肥にするのが良い

液肥(ワームティー)
容器に糞を入れ、水を注ぐ。水を換えながら50回は使える!とのこと
• 完熟堆肥をエサとするミミズ→糞はミネラル分が桁違いに高い!
• ミネラルの特徴→水に反応する→液肥

ミミズの糞は土、という考えでよい→肥料は植物の根元にあげられる。
堆肥は有機物なので、直接ではなく、根の先あたりに置く。

☆雨降る前にやるならミミズの液肥
◎シマミミズとフトミミズ

★コンポストで飼えるのはシマミミズ、畑にいるのはフトミミズ。

シマミミズ→3~4年生きる。多年生。
      生息地・・・堆肥・生ゴミ捨て場にかつてはいた。
      養殖ミミズもシマミミズ。アミノ酸豊富!

フトミミズ→一年生。
      生息地・・・落ち葉の下・日陰等の湿った場所、畑。
      栄養価はあまりない。飼うことはできない。畑を耕してくれる。

★フトミミズに畑に来てほしければ、行動特性を知ること。
 6月、梅雨の時期に、日陰や湿った熱の出ないところをつくると来る。
• むしった草をマルチにする。
• 堆肥も畝間に置くと寄ってくる。
• わらを積むと、熱が出るので来ない。


・・・ミミズ的暮らしはパーマカルチャー的暮らし。
化学物質過敏症にならないように気をつけることは地球を守ること 。


・・・以上関野さんのミミズに関するお話のレポートでした。
他にも多岐にわたってお話いただいたので、拾いきれず、まとめ切れなかったことも多くあります。補足、訂正等ありましたらおねがいします。

小川春美