魔物
鶏はとても大切な農場の一部。パーマカルチャー農場ではパイプで編んだチキントラクター(現在休止中)と果樹園との組み合わせで、卵を産んでもらうだけではなく、様々な役割をしてもらっている。しかし、鶏を生き続けさせるのが結構難しい。鳥インフルエンザなどではなく、野生動物達との共存だ。センター農場のすぐ裏は山。そこには多分日本にいる野生動物の8割ぐらいが生息しているだろう。鶏を狙ってやってくるのはイタチ、狐、狸、ハクビシン、テンなど。それに捨てられて野生化した猫や犬もいる。彼らのほうが生きることに必死なので、これまでに何度か全滅の憂き目に遭っている。今年も3月に雛を30羽程入れて育ててきたのだが、途中猫などの侵入もあって25羽程になったのが9月。柵の上に猫返しをつけてこれで猫も入れないから大丈夫と思っていたところ魔物が現れた。鶏を襲って頭と心臓だけを食べて行く。一度姿を見かけたのだが、森の中に飛んで逃げて行った。しかし、カラスとは明らかに違う。あまり羽ばたくふうもなく、果たして鳥であったかも確認できなかった。取りあえず上から入られないようにとの対策で、テグスを全面に張る。だいたい15cm間隔で張ったのでもう大丈夫だろうと思っていたのだが、それでもさらに1羽がやられた。鳥が飛んで入れるはずはない。しかし、飛んで逃げている。ムササビかとも思ったが下から上へ飛べるとも思えない。魔物だ、とちょっと期待していたところその正体が判明した。
「設楽さん魔物が鶏小屋にいます」とスタッフの山本君から電話が入った。「トンビですよ。逃げ出せないところに確保したので、どうしましょう」「殺すしかないよな」「ですよね。」「私も行くから」と言った会話があって、撲殺のための棒を持って鳥小屋に行ったところ。その魔物はトンビではなくオオタカだった。といっても実際にオオタカを見たことはなかったのでネットで検索して調べてみると間違いなくオオタカ。さらにPCCJ講師をお願いしている専門家のIさんとTさんに電話。どう処分すべきか相談したところ、自然至高主義のIさんは「オオタカに食べてもらえるなんて鶏も光栄ですよ。撲殺なんてとんでもない。早く逃がしてあげなさい」と、農民の悲哀は遥か彼方。で、しばらく鶏の遊び場の網にぶら下がっているオオタカとにらめっこ。「オオタカって絶滅危惧種だよな」「確かそうですよ」調べてみると絶滅危惧種第2種とされている。準絶滅危惧種らしい。しかも環境アセスなどのときの指標動物でもあるようだ。「殺すとまずいのかな」「まずいでしょうね」「でもこいつだよな」「こいつですね」と思案のあげく、「でもきっとこれで懲りて、もう来ないでしょう」「野生動物は用心深いしな」と、逃がすことに。あとでTさんから「オオタカは懲りないのでまた来ますよ。ハハハハ」との連絡をいただいたのだが、時既に遅し。それでも、その後は鶏が襲われることはなくなった。めでたしめでたし。