こつなぎ
伊豆の入り会い村を主催する菊池さんが完成させたドキュメンタリー映画「こつなぎ」の試写会に参加させていただいた。東京にはあまり行く気がしないせいなのか、いつも電車に遅れたり、電車が遅れたりするのだが、今回も予定の電車に遅れてしまい、映画が始まってからの到着となった。場所は京橋の映画美学校とあったが、既に管理者も見捨ててしまったレトロな片倉ビルの中の多分は100席程の映画館だった。東北の山中の寒村の写真と時にフィルムが映し出される中、淡々と男性のナレーションが続いて行く。内容は入会権の正当性を争っての三代にわたる裁判闘争を縦軸に、小繋村の生活の様子、そしてこの裁判に関わる人たちの様子が横糸として編みこまれて行く。そして、織り出されるのは単なる土地の所有権争いではなく、権力とそれに依らずに生きようとする人々との間との闘いの中で露になる正義の姿であり、それにより紡ぎ出される文化本来の在り方である。
正義のために闘わなければ、利のみが優先され、自然も文化も滅んで行く。現在私たちが、正面に見据えなければならないのはその現実だ。しかし、多くの人は、それを見ようとせずに、「闘うべきではない」等と分かったように言う。傍観という平和主義は現状が悪化して行くのに対して何の力も持ち得はしない。闘うことで、たとえそれが最終的に敗北や妥協で終わったとしても、変えなくてはならないことと引き継ぐべきことが明確になり、それが文化を築き続ける拠り所になる。
この映画を是非、多くの若者とあきらめて闘うことを止めてしまった大人達に見てほしいと思う。引き継いで行かなくてはならないものがあることを、知って欲しいと思う。