■日時:2008年11月4日(火)18:30~20:30
■場所:環境パートナーシップオフィス
■講師:
・設楽清和(パーマカルチャーセンタージャパン代表)
・小林一紀(有限会社エコネットワークス代表、ジャパン・フォー・サスティナビリティ マネージャー)
・伊藤志歩(やさい暮らし代表)

■講義内容
1.『世界システム・国家・経済』(設楽清和)
世界は経済で成り立っている。G8はまさに、経済活動がうまく活動しやすくするための会議である。
現代社会において、すべてのものが経済とかかわり、すべてのものに値段がついている。お金がすべてを決める世の中になっている。
《資本主義の経済システム》
15世紀にオランダで発生、16世紀にイギリスで確立。
18~19世紀はフランス、ドイツが中心国に参入。
20世紀はシステムの覇権を巡って対立し世界大戦が起こる。
その後、アメリカの一極支配と多国籍企業による、実質的な世界システムの運営。
20世紀末に世界システムの完成と破壊が始まる。
グローバリゼーションが自然と人間の多大な犠牲の上に一部のものの繁栄のみをもたらすシステムだということが明確になる。
これによって、環境問題も経済と大きなかかわりがあると言える。
現在の国力は経済力によって決まる。
国は国民を経済活動において評価する。そして経済力のある国民を育てる。
今までは権利と義務(法治)の国家だったが、これからは、秩序(人と人、人と自然などの関係性)の国家へ向かうのがいいのではないだろうか。
人と人、人と自然などの関係性を構築する→コミュニティを単位とする国家
《新しい経済の仕掛け》
・ものによる経済 物々交換
・腐る金による経済 たとえば、年々価値が下がるお金。貯めると損をする。
☆一人ひとりが生産者になろう!
2.サステナブルな地域経済をどうつくるかー 米国にみる新たな取り組み(小林一紀)
小林さんは、現在の経済システムが嫌いだったそうです。
「嫌いな現在の経済システムを、なんとかしなければいけない」と思い、カリフォルニアで経済を学んだそうです。
今回は、『バイオリージョン』という考え方でつながっている、『サーモン・ネーション』という活動を紹介してくださいました。
《バイオリージョン》
・生態系的にまとまりのある地域
・生物、社会、地形的つながりのあるテリトリー
☆国という境界線を越える!
《サーモン・ネーション:Salmon Nation》
環境団体「エコトラスト」が展開した環境キャンペーン
「19世紀初頭に800万~1600万匹も遡上していた野生のサーモンは、現在では250万匹まで減少し、しかもそのなかで野生の、つまり人工的に孵化放流されたものでない自然産卵のサーモンは、推定50万匹と激減してしまいました。
コロンビア川の支流であるスネーク川に生息する、ベニザケなど3種類が絶滅危惧種に指定されています。
その理由には、過剰漁獲、灌漑や農業、森林伐採、鉱山開発、家畜放牧などによる生息域の破壊や、農薬や化学肥料、製紙会社からの排水による水質汚染、あるいはサケ養殖場が原因となる病気への感染、そしてダムによる遡上の阻害があります。」
(参照サイト:鮭の国宣言をした都市・ポートランド(07/11/19)より)
《サーモンが棲む地域》
・アラスカからカリフォルニア
137種の生物がサーモンに依存して生きている
豊かな森林(北アメリカ太平洋岸温帯雨林)がある(豊かな海が作られる)
森林とサーモンの相互の依存性がある
☆生活している場所を愛していますか?
私たちは、住んでいる土地を愛しているだろうか?
→サーモン・ネーションに参加するとサーモン・ネーション市民になる
《サーモン・ネーションに参加するということ》
・「翻訳者」になる
サーモンを自由に使い、作品やプロジェクトに「翻訳」する
→パフォーマンス、CD、マンガ、詩など
・「大使」になる
スポークスマンとして、プロジェクトや人をつなげる
・「ビジネスパートナー」になる
ロゴやブランドを使い、バイオリージョンの活力を高める
→NPO、Bank、お酒など
《サーモン・ネーションの活動》
・先住民プログラム→数十の先住民種族と協力
・漁業→コミュニティ、サーモンや魚の保護のためのデータ収集、合意形成
・森林→コミュニティ、適切な森林管理プログラム、マーケティング支援
・食と農家プログラム→サステナブルな食のシステムに向けビジョン形成
・市民プログラム→各種イベント
《環境団体「エコトラスト」》
・1991年設立
・地域コミュニティでの企業活動にいかに金融資本を提供するか
・1997年 米国発の環境銀行Shore Bank Pacificを設立
《ナチュラル・キャピタル・センター》
米オレゴン州ポートランドにある店舗
サーモン・ネーションをコーディネートしている「エコトラスト」がオーナー
100余年倉庫として使用された建物を生かす
環境への配慮が隅々まで注がれている建物
《ナチュラル・キャピタル・センターに入居するテナント》
大企業を誘致したくない、サステナブルなビジネスを呼び込みたいという考えのもとにテナントが入居している。
・パタゴニア
・プログレッシブ・インベストメント・マネジメント(Progressive Investment Management)
→サステナブルの視点から企業変革に取り組む企業に投資する
→2004年にUpstream21の新会社を開始
→サステナブルな地域経済をつくる小企業に資本を提供する
→投資の基準 「成長第一」ではなく、地域でのサステナブルな生産をする
サステナブルな未来に向けて、製品やサービスを提供している など
→投資例 ジェファソン・ステイト・フォレスト・プロダクツ
森林の管理、製材、材木製品をつくる会社
サステナブルな森林業、木材管理にかかわる
・ショアバンク・パシフィック 米国で初めて環境的に持続可能な地域開発への貢献を誓約した商業銀行
・ワイルド・サーモン・センター 野生のサケやマスを保護するため北米、ロシア、日本において活動展開
(☆参照サイト:「近隣への贈り物 」としてのオフィスビル (07/11/05)より)
《ポートランド:行政の動き》
・ポートランド市サステナブル発展局がある
・他都市との競争
ポートランドはアメリカの都市の中で、一番持続可能な都市
The 2008 SustainLane U.S. City Rankings (2006 Rankings in Parentheses):
1) Portland (1)
2) San Francisco (2)
3) Seattle (3)
(参照サイト:SustainLane Announces Annual U.S. City Rankings)
・サステナブルビジネスを呼び込む
《感想》
レポートを書きながら調べれば調べるほど、とても興味深い活動であることがわかりました。
サーモン・ネーションとは、国境を越え、境界線も越えた、サーモンという媒体を通じてつながるコミュニティ、活動である。その活動は、大きな地域に限らず、小さな地域、個人でもできる。
そんないい事例をご紹介くださいました。参考にできることがたくさんありそうです。
サステナブルを意識した、企業のあり方、行政のあり方、暮らしのあり方について、日本の私たちも意識を変えることが大切だと思います。
実際に取り組まれている事例を参考にしながら、できることを探したいと思いました。
3.やさい暮らしの活動について(伊藤志歩)
伊藤さんは、自然というコミュニティの一員として生きていたいと考え、「農家になろう」と思ったそうです。
「農家になって、どうやって野菜を売ればいいんだろう」と、インターネットを見るようになると、発信ができることに気がつき、野菜暮らしのしくみを考えついたそうです。
《やさい暮らし》
・インターネットで、野菜の通販ができるWebサイト
・9件の農家さんを紹介して、農家さんを選んで野菜を買ってもらう
届く野菜は選べない。その時にできたものが送られる
どの農家さんも、農薬や化学肥料を使わず、持続可能な農法で野菜を作っている
《信頼による経済への挑戦》
・農家さんを紹介することで、どんな土地、どんないきさつ、どんな想いで野菜をつくっているのか、
野菜をとおして生活、考え方をコミットする
・野菜といっしょにお手紙などが届くと、商品が送られた感じではなく、おばあちゃんから届いた感じがする
・農家さんは、野菜を嫁に出す気持ちになる
・商品ではなく、関係を買ってもらいたい
・作る人と買う人は対等な関係である
・つながることのチャレンジ
《運営においての副産物》
いろいろな農家さんと交流することで、気がついたことが多い
・既存経済に"依存しない生き方"を実践していることに驚いた
・自給自足(衣食住)ができている
・たとえば、ダムや貯水槽が必要と思っていたが、湧き水を利用していた
生活全般に、周囲のエネルギーを利用している
・家のリフォームや小屋作りは、自分でするのがあたりまえ
・家族の時間を大切にしている
幼子は、畑のそばに寝かせて、農作業している
《感想》
伊藤さんは、とても魅力的な仕事を作られたと思いました。今後いろいろと展開していきそうな可能性を感じました。
人と人をつなぐことの楽しさ、自給自足の豊かさをとても感じました。
私も、おなじようなことに携わりつつあり、かけだしながら、同じ仲間のような気持ちで聞くことができました。
■まとめと質疑応答
今日の講師は、お二人とも30代前半くらいです。伊藤さんもおっしゃっていましたが、自分たちの世代が新しい経済を作ると、意識していらっしゃいます。
二人とも同じような視点で、どうすればいいのかを考えながら、具体的に行動し、楽しんでいらしゃいます。
「行動すれば、人に伝えられるようになる」と、設楽さんはおっしゃっていました。
設楽さんは、みんなが生産者になること、一人ひとりが何かを生産することが、経済を作る。消費者のままでは経済に翻弄されるだけだ、とおっしゃっていました。
来年のサステナブルコミュニティ講座は、座学ではなく「生産したものを交換する交流の場にしたい」「生産者になることによって、みんなが語ってほしい」とおっしゃっていました。
(レポート協力:小山美佳江さん)
《小山さんより》
第一回目からのレポートを、つたない文章ですが、「地球時間 できることからはじめよう~持続可能な社会の仕組みづくりを目指して~」というブログに書いています。よろしければ参考にしていただればと思います。
http://ameblo.jp/jikyuujisoku/theme-10009793118.html
■受講生の声
【印象に残ったこと】
・バイオリージョンから経済へのつながり
・エコトラストと銀行の協働
・国や地域などの境界のないコミュニティー
・"作る人と買う人が対等"ということばは、日本人があまり理解していない点だと思う
・既存経済に依存しない生き方
・想像できること、想いが届く、受けとめられる関係づくりが、今ある"問題"とされるものの解決策なのだと思った。自分の足もとに幸せを思うことの連鎖が、人の"生きること"の幸せにつながるように感じる。
・思いやりの経済への挑戦
・『つながり(みえる)』『信頼(他人のことを思える想像力)』『自立(できることを楽しく)』、一人ひとりが創造すること
・生産者になるということ
【疑問、深めたいこと】
・地域内でのエコファンド的な取り組みの可能性について興味を持った
・日本のバイオリージョン経済の事例も探したいと思った
・やさい暮らしのようなしくみが、教育、芸術、漁業などにもあってほしいと思った
・一人ひとりが創造者になること。私も何か創る人になりたい!!
・どういう風に生きるべきか、考察が必要だと思った
・マインドセットの切りかえ方。人や自分を信頼することから始まるように思う
・地域通貨を実用化していくこ
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